サッカーはゴールを奪い合うスポーツであり、ボールを奪い合うスポーツでもあります。しかし、日本のサッカーは、特に育成年代(小学生から高校生)において、個々の積極的なチェイシングや激しいプレス、タックルといったボールを奪う守備が決定的に欠けているように見えます。
その反面、ボールを持つ相手選手に対して一人目がアプローチ&ステイで相手のプレーを遅らせて、その間に数的優位を作ってプレーを限定していき、相手がアクションをとった先でボールを奪うパターンをよく見ます。この守備の流れはサイドのように、相手のプレーエリアが限定されたポジションでは特に効果的で、我慢しながらジワジワと相手を追い込んでいくことができる日本人の得意技だと思います(2014年現在)。
このような組織守備は決して間違っているわけではありません。しかし、相手の攻撃レベルが高い場合、プレーの限定がサイドより難しい中央のエリアや、組織ディフェンスが少しでも噛み合わなくなったときには守備が簡単に崩壊してしまいます。
私は、そんなときに個でボールを奪う力があれば、もっとボール支配(ポゼッション)率があがり、試合を有利に運べると思います。
また、個で積極的にボールを奪うディフェンスができることで、攻撃の選手も相乗効果でレベルが上がると考えます。日本サッカー界で「キープがうまい」「ドリブラー」と呼ばれている選手たちが海外で継続して通用しないのは、日本のディフェンスの環境と違うからではないでしょうか(2014年現在)。
間合いを取りながらドリブルコースに体を入れるのではなく、ドリブルしている相手に向かって一度体をぶつけてさらにそこからボールを奪うディフェンス。足を出して相手にアクションを起こさせ、そこから個人で追い込んでいくようなディフェンスは、日本ではなかなか経験しないものであり、育成段階から必要な要素であると感じます。
日本人はもともと器用で敏捷性があるので、個でボールを奪う守備力のレベルアップは十分可能かと。もちろんそれにはサッカー環境や体の使い方が重要となります。
なお、体の使い方ができたときを言葉で表現すると、一度相手に体を当てたりボールに対して足を出して、さらにそこからあらゆる方向に動けるイメージです。また、予想と違う方向に相手やボールが動いたときに、素早く修正して対応できるイメージです。
奪う守備のチャレンジを評価したり、定期的なラダートレーニングなどで体の動きの質を高めることができればいいですね♪
【WOWOW】U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2014 決勝/FCバルセロナvs東京都U-12【58:40】