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メッシ、ネイマール、エムバペ、セルヒオラモスなどのビッグタレントが集まるパリサンジェルマン。そのパリが2022JAPANツアー開催で、7月18日(月)秩父宮ラグビー競技場にて、有料による公式公開練習を開催することに。
そこで私とサッカーをやっている子供の2人は、夏のお楽しみとして会場へ足を運びました。子供は純粋に楽しむために行きましたが、私は楽しむことはもちろんのこと、指導者として、このサイトの管理人として映像による分析&自分の体を使った検証がどれだけ合っているのか、答え合わせをすることで、次に繋げていくことを目的としました。
なので今回は、その答え合わせを中心に、生で練習を見た感想をお伝えします。
分析&検証の答え合わせ
まず結論から言いますと、私が長年やってきた
一流プレーヤーの体の動きと、その動きによって可能になるプレーの分析&検証については
控えめにいって合格点以上でした。
体の動きそのものはスローではないため、肉眼でしっかりと追いきれない部分もあったため合格点以上とさせていただきました。とはいえ、その動きによって可能になるプレーは随所で見られましたし、そのプレーをするコツは小学生の指導にも落とし込めて成長してもらっていますので、分析や検証に問題ないことは確認できました。私の指導力の問題で、これからも伝え方に改善の余地はありますが、映像分析と検証に問題なかったことは心からうれしいことでしたし、ひと安心しました(^_^)
とくに、私が指導やサイトでお伝えしている
・インサイドキックの蹴り分けと縦パス
・Sトラ(主体変容)
・利き足重視での精度の高いプレー(2タッチ目は利き足でプレー。も含む)
・上記3つによって可能となる、日本ではできないタイミングでもやってのける攻撃のバリエーションやそれに対応する守備
といったものは、日本サッカーの育成において、まだまだ改善の余地がありますが、そういった現実を突きつけてくれる練習でした。
そんな感じで、分析や検証はこの生練習で答え合わせできましたが、やはり生で観られるということもあって、映像ではわからない点もチェックしてきました。
練習のグラウンド準備に1時間以上かけるスタッフ
私が一番興味深かったのは、練習のグラウンド準備に1時間以上かける点でした。
スタッフたちは、芝の状態を確認したのち、練習を成功させるためのコート作りや人間マーカー配置などを、メジャーを使って細かく正確に行なっていました。
このコートの長さや幅、人間マーカーの立ち位置や角度といったものは、試合の分析をもとに緻密に計算されているんだろうな。
と考えながら、子供がとなりでニンテンドースイッチのスマブラを楽しんでいる間、ワクワクして見ていました(^_^)
メッシ選手のすごさ4選
また、この日は生メッシの練習を見られるということで、穴が開くほど観察しましたw
そのなかでメッシ選手が他の選手よりもすごいと感じた点を4つ紹介します。
1.予測の判断と動き出しが早い
2.力みがなく、リラックスしている
3.他の選手よりも狭い間合いでプレーしている
4.判断を変えられる時間がちょっと長い
そもそも、メッシ選手は、それほど運動量が多いわけではなく、ある程度守備は他のメンバーにがんばってもらうかわりに、攻撃のときにその能力をいかんなく発揮することでチームに貢献しています。
そんな彼のすごい点について。
1.予測の判断と動き出しが早い
攻撃はもちろん、守備のときの予測の判断と動き出しがとても早く、相手がいやがることばかりしているイメージでした。相手のことを観察したり、心理戦に持ち込むのがメチャすごくて、守備では彼がボールに寄せるとパリの選手もフェイントで彼をあしらうことができていませんでした。また、攻撃のときにはその動き出しの早さでスッとフリーになったりボールを拾ってチャンスメイクをしたり、攻撃を組み立てていました。
2.力みがなく、リラックスしている
メッシ選手は、力みがなく、いつもリラックスしてプレーしています。とくにボールを足元でもらうタイミングでは、止まっていたり歩いている感じで、バタバタしません。かといって、寄せすぎるとあっさりとかわされてしまうので、守備はファール覚悟で飛び込むか、前を向かれるのはあきらめて、そのあとのプレーを限定させることくらいしかできませんでした。サッカーでは、ボールをもらう動きがゆっくりなほど、ボールコントロールはしやすいですよね。だからといって、世界中のほぼ全ての選手はレベルが上がれば上がるほど、止まったり歩いた感じでもらうことはできません。しかし、メッシ選手はそれができていて、極端にいえば、子供のサッカーに大人が混ざっている感じでした。
3.他の選手よりも狭い間合いでプレーしている
メッシ選手は、他の選手よりも狭い間合いでプレーしていました。たとえば他の選手なら前を向けずに後ろに返すところを、彼は前を向き、前を向いて守備と対峙したときも体の近くにボールを置くことで、守備との距離感が狭くても横や後ろのパスに逃げず、チャレンジしていました。守備からすると、飛び込めばかわされ、かといってプレッシャーをかけないと助走なしでも正確なキックでチャンスを作られるし、コースを切れば逆をつかれて突破される。という、対応のしようがない選手だな。と見ていて感じました。
4.判断を変えられる時間がちょっと長い
これは、2や3とも重複しますが、メッシ選手は判断を変えられる時間が他の選手たちよりもちょっとだけ長いです。しかし、そのちょっとが大きな差となり、守備の選手たちは困り、攻撃の選手は信頼して次の展開のために動いていました。とくに練習序盤の3対3+2の練習では、相手の予想の逆をつくプレーがたくさん見られました。私も観客席から見ていてとことん逆をつかれまして、
これ、ピッチにいたらあきらめモード全開だわ・・・
と悟りましたww
ギリギリで判断を変えられる選手は良い選手。というのが私の持論ですが、その頂点なんだろうな。と思いましたし、生練習でそれを見られたことはとても幸せでした(^_^)
なお、2~4は、体の動きとも関係しているので、彼の体の動きを分析して自分のものにすることは、レベルこそ違えど、他の選手との違いを作る要因となります。
ボールが動くとき、いつも反対側を見るという意識づけ
これはメッシ選手だけではありませんが、自分のもとへボールがこないとき、ボールが右から左へ動けば右を見て、左から右へ動けば左を見ていました。育成年代のサッカーでも、ボールをもらうときに相手が寄せて来ているかどうかの『目線切り』だけでなく、ボールが動いている中で『周りを見る。とくにボールと反対側を見る。』ことは、今までの指導でも伝えてきましたが、今回の練習で、改めて大事だと強く感じた点なので、指導の現場で繰り返し伝えていきます!
助っ人2〜3人と全員助っ人の違い
今回、来日したパリサンジェルマンのメンバーはJリーグでいえば、全員助っ人レベルの選手です。
現在、Jリーグにはすごいキャリアのある助っ人がいるチームがありますが、ひとチームあたり2〜3人です。
私はかつて、のちのブラジル代表となるフッキ選手と練習試合でマッチアップさせてもらいましたが、彼は欲しいタイミングでパスがもらえずにメチャ不満そうでした。なので当時の所属したJチームでは、助っ人である彼の能力がいかんなく発揮できたとはいいがたいです。そして、これは今のJリーグでも当てはまると思います。しかし、パリサンジェルマンは全員がその助っ人レベルなので、シーズン前で連携を深める段階とはいえ、根本的に縦パスの出てくるタイミングも多いですし、攻撃が噛み合ったときのスピード感や精度はすごいものがあります。
試合を生で観戦される方は、そういった点にも注目されると楽しみも増えるのではないでしょうか?
なお、Jリーグ勢はシーズン中&ホーム&気候に慣れている&エキシビジョンの一発勝負にはけっこう強いので
川崎フロンターレ・浦和レッズ・ガンバ大阪のJリーグ勢にも期待しています(^_^)
おわりに
今回、パリサンジェルマンの練習会を生で観ることができて、私にとっては大きな財産となりました。それは、『答え合わせ』ができたことと、子供といっしょに純粋にサッカーを楽しむことができたからです。企画・運営・すべての関係者の方々に感謝です。本当に、どうもありがとうございました!!
この経験を次の世代につなげていきたいと思いますので、これからもどうぞよろしくお願いします(^_^)
【LIVE】パリ・サン=ジェルマン 公式練習【JAPAN TOUR 2022】