体の仕組みと健康は自然に学ぶ!免疫や自律神経についてのお役立ち情報

はじめに

複雑な体、とくに病気など健康に関する原因や仕組みを解き明かすことは、人類の夢のひとつであり、多くの人がチャレンジしていますが、そのうちの一人が新潟大学名誉教授で医学博士、免疫学の権威である、安保徹氏です。

そもそも免疫とは、体内に入った細菌やウィルス、また体内で発生したガン細胞などの異物から身を守ることで、免疫力は、本来生まれながらにして人間が持っている、自分で自分を守る力のことです。

安保氏は、インパクトのあるキャッチフレーズや言葉の揚げ足(あげあし)を取られ、トンデモ論者として批判を浴びることもあるそうですが、彼はあるときふと、

エネルギー生成の観点から、動物と植物が同じ仕組み・原理で生きたり細胞分裂したりしている

ことに気がついたそうです。

(自然とかけ離れた、『傲り(おごり=人が土から放れる)』のある現代人からは想像しにくいですが、実は化学肥料や農薬に頼らない篤農家さんたちと同じ感覚です。)

そして、独自で導いた理論から「先人の知恵に勝るものはない。」の『知恵』を検証した結果、

やはり先人は凄かった。

という結論を出しています。

そこで今回は、安保徹氏が伝える『健康な生活を送るために必要なこと』に関していくつか紹介します。

安保理論の前知識

安保徹氏は、『38億年かけてできた生命の仕組みを理解することで、健康に生きることができる。』という持論を持ち、エネルギー生成の視点から健康に大切なことを解き明かしています。なお、エネルギー生成には2種類あります。

解糖系とミトコンドリア系の違い

エネルギー生成のタイプ解糖系ミトコンドリア系
概要無酸素の時代から生物が持つ、最も原始的な代謝系。酸素を嫌うため、酸素を使わずに、食べた栄養(糖質)を消化することで、エネルギーを作る。発酵。人間がエネルギーを得る2種類の方法のうちの一つで、20億年前には毒素であった酸素に適応する細菌(好気性細菌)が出現し、酸素をエネルギーを取り出す材料に変えた。ミトコンドリアの祖先と言われている。


ミトコンドリア系は、(解糖系のように)細胞分裂できない細胞。分裂抑制遺伝子を持つことで解糖系と共生している。
特徴瞬発力(=即効性)があるのが長所であり、持続力がなく、一度に大量のエネルギーを作ることが苦手。酸素を嫌う。エネルギー生成までに時間がかかるが、大量のエネルギーを作ることができ、持続力がある。
活動に適した温度32度程度37度程度
タイプ別の主な器官・皮膚
・精子
・白筋
がん細胞(オットー・ワールブルクというドイツの生物学者・医師が発見『ガン細胞にはミトコンドリアが少ない。解糖系エネルギーを得て生きている』。1931年にノーベル生理学・医学賞を受賞。医学界は、抗がん剤治療の研究と治療法開発を優先。。。)
・脳神経
・心筋
・卵子
・赤筋
先人の知恵(行事やお祭りで伝承されているものもあります)・冬に行われる裸祭(岡山で行われているものは、実際に参加したことあります(笑))
・寒中水泳
・乾布摩擦(交感神経の反動を利用した、副交感神経誘発の狙いもあるそうです。副交感神経については、のちほど。)
・子供は風の子

・戌の日の服帯
・頭寒足熱(体を冷やさない。という意味で。)

年齢や個人差が大きいエネルギー生成

植物では、巨峰というブドウの品種を開発した大井上康氏の『栄養周期理論』という、『一生の間で、生育に適正な環境や、とくに必要な栄養素やその割合が変化する』説がありますが、安保氏の理論でも同じようなことを提唱しています。つまり、エネルギー生成は

年齢によって、解糖系とミトコンドリア系の比率が変わる。

というもの。ただし、生活環境や個人差が大きいのが特徴です。(私は、『栄養周期』を少し勉強していたので、安保氏の理論は、すぐに合点しました。)

具体的には、以下のような推移になります。

●胎児から幼少期(3歳くらいまで)
【解糖系優位の時期】

・細胞分裂がさかんに行われる時期。無酸素運動が活発
・エネルギーがありあまっている。
・冬の風にあたることで、低体温になり細胞分裂が進み、皮膚も丈夫になる。

 

●幼少期~成長期が終わるまで(15歳~20歳くらいまで)
【解糖系優位から、徐々にミトコンドリア系が増える時期】

・ミトコンドリアが増えて分裂抑制遺伝子が働く頃には、体の成長が止まる。
・精子・皮膚・髪など、その後も分裂を繰り返す細胞以外は、解糖系の機能は次第に弱まり、ミトコンドリア系の機能が整ってくる。
・お腹が減りやすく、おやつや夜食を欲しがる

 

●成長期の終わったあと~50歳くらいまで
【解糖系とミトコンドリア系の調和】

・二つのエネルギー系をうまく使い分けることができる。
・忙しい時は、解糖系のエネルギーをフル稼働させて乗り切り、ミトコンドリア系でゆとりを取り戻すことができる。

 

●50歳くらい以降
【ミトコンドリア系優位の時期】

有酸素運動が優位になり、自然の流れに従って無理なく生きることが大切。
・酸素を多く取り込み、ミトコンドリアが元気になるように体を温めゆったりとした生き方に切り替えることが健康の秘訣。小食が健康になる。体のサインで判断。無理に小食に切り替えると、早く老ける。また、筋肉を鍛えたりすることで、解糖系の縮小を抑えることができる。

体全体の働きを調節する自律神経

また、体と心の健康を考えるうえで欠かせないものとして、『自律神経』があります。自律神経とは、人間の意志とは関係なく、生命維持のために一致協力して細胞が働くのを統率する司令塔のことで、交感神経と副交感神経の2種類があります。

自律神経は脳の中枢から全身に張り巡らされ、心拍、血流、臓器、免疫系など、体全体の働きを調整しますが、ストレスによりその調整機能が鈍ったり調整が困難になります。

交感神経と副交感神経の違い

自律神経の種類交感神経副交感神経
働きと特徴活動時に優位となる神経。


アドレナリンを多く分泌することで脈拍や血圧、血糖値を上げて体を活発に働かせる。緊張時、不安・恐怖を感じたときにも強く働く。血管は収縮する。
休息時に優位となる神経。


緊張状態で体にかかった負担を取り除き、食事や、それを消化して栄養とし、老廃物を排泄するために、副交感神経が刺激される。アセチルコリンを多く分泌することで、脈拍や血圧、血糖値を下げ、休息の状態へ導く。
神経過剰の弊害ストレス過剰。血管が収縮して顔色が悪くなる。血流が悪くなり、低体温を引き起こす。運動不足。満腹感。ストレスが足りないために、日常生活がすべてストレスに感じてしまう。
過剰の具体的な改善方法例(二つの神経の『バランス』『メリハリ』が重要)・適当なストレス発散
・マインドの改善
・休息をとる
・仕事などの負荷の低減
・適当な運動
・食事の見直し
・マインドの改善
・(小さな)目標を決めて、ものごとに取り組む

思考停止で薬だけに頼ってはいけない

体の調子が悪くて病院に行くと、診断をしてくれて処方箋を手配してくれます。診断までは素人で判断することは難しいことなのでありがたいですが、ただ医者の言うことを聞いて処方箋に頼るかどうかは別問題です。

なぜなら、薬は対症療法だからです。対症療法は、目先の問題(症状)を解決(改善)することが目的であり、根本的な原因を探るわけではありません。

しかし、実際に体の調子が悪くなるには『原因』となる生活習慣やストレスがあるものなので、そこを自分で振り返ることが非常に大切になります。また、自己分析をして、『自分がどういう性格なのか』把握することも重要です。

就職活動で行う自己分析は、きっかけとしては良いと思いますが、日常生活のなかで意識することが大切です。

体のサインや感性を大切にしよう

自分の性格の把握だけでなく、『体のサイン』や『感性』を大切にすることも非常に重要です。たとえば、

・これは、自分に合う。合わない。
・今までは飲み過ぎ、食べ過ぎても次の日は何ともなかったが、もう体が変わったかな。
・筋肉痛になるのが以前よりも遅くなった。
・●●をすると、翌日湿疹ができる。アトピーがひどくなる。

こういう体のサインや感性をどう捉えて次に活かすか。ということを自分で考えて行動することが、健康を維持していくうえで非常に大切です。

おわりに

安保徹氏は言います。

人間の学習には
・人から見聞きして学ぶのが半分(後世に残る)。
・人以外の観察や自分の感性から学ぶのが半分。
に分類できると。

現代人は、人から見聞きして学ぶことに長けていますが、観察(体のサインも含む)や感性から学ぶことは劣っている、と。

まさに、土から放れた生活を送る(=傲(おご)る)現代人の特徴ですね。観察力や感性が鋭くなるには、ストレス状態や思考停止状態では困難です。人間の体の仕組みを『頭で理解』し、『野生の感』を働かして、『健康で充実した生活』を送ることができたらいいですね(^_^)

安保徹博士「免疫力をあげるのに無理は禁物!楽も危険(笑」ワールドフォーラム「統合医学を結ぶ!」公開講演会【7:33】

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